タイムトラベルの本棚

タイムトラベルを題材とした小説、映画の感想

『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング 伊藤典夫@訳

たんぽぽ色の髪が風に舞う、未来から来た女に会った。「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」……甘く美しい永遠の名作を、伊藤典夫の名訳で収録する待望のヤング傑作選。

 

河出書房新社 この本の内容より

 

たんぽぽ娘

 The Dandelion Girl

  Robert F.Young

 

 

たんぽぽ娘:どんな話?

44歳の弁護士マーク・ランドルフは、妻と2週間の休暇を楽しむはずだった。

ところが、妻のアンが陪審員として思いがけず召喚されたため、たった一人でコーブ・シティで休暇を過ごすことになった。

 

山小屋の近くの丘を散歩していると、たんぽぽ色の髪をして白いドレスを着た21歳のジュリー・ダンヴァースと出逢う。

ジュリーは「わたし、いまから240年後のコーブ・シティから来たんです」と微笑みかけた。

 

たんぽぽ娘:あらすじ(ネタバレあり)

マークはジュリー未来人説を全く信じず、この辺に住んでる空想好きな娘だと思っている。

丘で毎日会っていた2人だけど、 ジュリーには病気の父親が居て数日会えなくなる。

最後に会った日、ジュリーは黒いドレスを着ていて、父親が亡くなった事、タイムマシンの部品交換ができないのであと1往復で壊れてしまうだろうと言い去っていく。

 

マークはジュリーに会えなくなってから、町の郵便局で最近葬式があったか聞くが、1ヶ月以上葬式は無いと言われる。

 

休暇を終えて家に戻ったランドルフは、屋根裏部屋で偶然、妻アンの荷物の中から白いドレスをみつける。

ジュリーと初めて会った日に着ていたドレスだ。

 

妻のアンは20年前に不安そうな顔で法律事務所に秘書としてやってきた。

亜麻色の髪の女性で、その美しさは今も変わらない。

いつもどこか不安そうな顔をしていて、写真には決して写りたがらない。

 

髪の色も顔も変わってしまったがアンはジュリーが顔を変えた姿だった。

 

時間警察に見つからないように顔を変え、1961年の1人だけの休暇の時にマークとジュリーの出会いが上手くいかずにタイムパラドックスが起きないか不安に思っていた。

マークがそれに気づいたとき、アンの目から不安は永久に消えた。

 

44歳と24歳のマークに会ったアンはタイムパラドックスが起こらないか、マークが44歳になるまで時間警察に見つからないか不安だったんでしょうね。

やっとその不安から解放されたのが初めて会ってから20年後。

時空を超えたラブロマンス。

 

たんぽぽ娘:タイムトラベルの種類

タイムマシーンを使った「機械式タイムトラベル」

 

「時間警察」 が未来にはあって、過去に定住しようとする人の取り締まりをしている。そのため、タイムパラドックスは起きると考えられているようです。

  

たんぽぽ娘:まとめ

  1.  タイムマシーン型のタイムトラベル小説。短編。
  2. タイムパラドックスについては、未来世界で危惧されているものの、タイムパラドックスは起こらなかった
  3. 20年、孤独に不安を堪え忍んだラブロマンス

 

長らく読むのが難しかったこの作品ですが、ゲーム「CLANNAD」や、そのアニメ化、三上延「ビブリオ古書堂の事件手帖」などで取り上げられたことで2013年に再販されました。