『時をかける少女』筒井康隆
放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。この匂いをわたしは知っている そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床に倒れてしまった。そして……目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。
思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。
わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時を超える。
裏表紙あらすじより
ラベンダーの香り。
表紙絵と文字の大きさなどは時々改訂されているが、文章自体は今も昔も同じものなので表紙に釣られて読むと若干違和感があるかも。
約115ページの中編小説。
時をかける少女:どんな話?
週休二日制になる前の時代
講堂のピアノで誰かがショパンのポロネーゼを弾いている土曜日の放課後
芳山和子、深町一夫、浅倉吾朗の3人は理科室の掃除をしていた。
深町、浅倉が教室に鞄を取りに行った後、
一人ゴミ捨てから戻った和子が掃除道具をしまおうと理科実験室に向かうと
中に人の気配がする。
思い切ってドアを開けると、驚いた誰かが試験管を取り落して割ってしまう音が響く。
理科実験室の中に入っても人影は見え・・・薬棚の影から衝立の向こうに誰かが逃げ込んだ!
和子が勇気を振り絞って衝立の裏を見たが、そこには誰もいなかった。
不審に思いながら、割れた試験管に近づくとラベンダーの香りがし、和子は気を失う。
ちょうど戻って来た深町と浅倉に保健室に運ばれ、理科の福島先生に貧血と診断される。
それから3日後、夜中に地震が起こり、浅倉の家の隣にある銭湯で火事が起きる。
心配して様子を見に行った和子だが、火事はボヤ程度で済んだようだ。
翌朝、寝過ごしてしまった和子は急いで学校に向かう。
同じく寝過ごした浅倉吾朗とともに学校前の信号を渡ろうとしたとき、居眠り運転のトラックがにひかれそうになる。
トラックのタイヤが目の前に近づく中、死んでしまうのか、これは夢だ、布団が恋しいと考えていた和子だが、気が付くと自室の布団の中にいた。
学校へ行くと、地震の1日前に戻っている事を知る。
時間を遡る不思議な能力を手に入れた事で不安になる和子だが、理科の福島先生や深町、浅倉の協力を得てあの日の理科実験室についに戻る。
そこに居たのは意外な人物だった。
時をかける少女:面白かったところ
- 二重存在の矛盾の強制排除
- ラベンダーの香り
- オカルト雑誌を愛読してそうな福島先生
- 記憶の改竄
- 嗅覚からの記憶の想起
時をかける少女:タイムトラベルの種類
意識の時空間跳躍。
過去の自分に戻る事が出来るタイムリープ。
過去の改変は可能でタイムパラドックスは特に無さそう。
未来人に関してはタイムパラドックスがあるのかな?
時をかける少女:まとめ
アニメ映画「時をかける少女」
2006年公開の細田守監督のアニメ映画「時をかける少女」はヒロインの紺野真琴が、小説の主人公・芳山和子の姪という設定。
美術館に勤める芳山和子は30代独身で誰かとの再会を待っている。
「タイムリープね。真琴くらいの齢の頃にはよくある事よ」みたいな事を言っていた。
そのシーンでは20年前の深町一夫、浅倉吾朗、芳山和子の3人で写る写真が登場する。
タイムリープに関しては、クルミのようなキーアイテムや腕の痣などアニメ独自の設定が出て来る。
こっちは小説「時をかける少女」を読んでなくても、映画単体で十分楽しめます。
2018年7月20日 日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で放送予定
放送時間が21時00分~22時54分なので今回もエンディングがカットされそう……