タイムトラベルの本棚

タイムトラベルを題材とした小説、映画の感想

『タイムマシン』H・G・ウェルズ 石川年@訳

時空を超えることの出来る機械「タイムマシン」を発明したタイム・トラヴェラーは、80万年後の未来世界に飛ぶ。そこで見た人類の変わり果てた姿に、彼は衝撃を受ける。80万年後の世界、それは知力、体力が退化した地上種族・エロイと、エロイを捕食し光を恐れる地下種族・モーロック、この2種族による原始的な階級社会であった 

 

裏表紙あらすじより 一部抜粋

 

タイムマシン

 THE TIME MACHINE

  Herbert George Wells

 

 1895年発表。

「タイムマシン」という単語を初めて使った、SFの古典と言われている小説。

継続的に日本語訳が出版されていて、映画化もされているし、他の小説などで言及されているので名前を知っている方は多いと思いますが、そのストーリーとなるとあまり話題になる事が少ない気がします。

 

日本語訳は9人の翻訳家に訳されているようですが、今回は2002年に映画化された際に出版された角川文庫の石川年訳を紹介します。

 

 

 

タイムマシン:どんな話なの?

毎週木曜日にリッチモンドの屋敷で開かれる食事会。

ある日、その屋敷の主人がタイムマシンの模型を客たちに披露します。

 

模型はレバーを引くと一陣の風とともに消えてなくなってしまいます。

 

彼は人が乗れる大きさのタイムマシンを作っていると言い、工作室を客たちに見せます。

そこには先ほどの模型をそのまま大きくし、レバーの何本か以外はほぼ完成しているタイムマシンがありました。

 

 

翌週の木曜日、主人  タイム・トラヴェラーは、ボロボロでホコリにまみれた姿で食事会に遅れて現れます。

シャンパンを飲んで一息ついた後、身なりを整えて食事の席に戻って来たタイム・トラヴェラーは客たちに驚くべき体験を話し始めます。

 

 

西暦802701年の未来

人類の文明は衰退し、親切で怠け者で優美でひ弱な小人の地上種族エロイと、地下に暮らす青白い体の獣のような地下種族モーロックの2つの種族の原始的な世界がありました。

地下種族にタイムマシンを隠されたタイム・トラヴェラーは8日間、恋人となった地上種族エロイのウィーナとともに未来の世界を冒険する事になってしまいました。

何とか地下種族モーロックからタイムマシンを取り返したタイム・トラヴェラーは、甲殻類が闊歩する未来に寄り道して、出発した過去へ戻って来たと言う不思議な体験談でした。

 

 

タイムマシン:面白かったところ

タイムトラベル中の周りの景色が認識できる

機械的なタイムトラベルの場合、周りの景色や時間の移り変わりはあまり見えず、タイムマシン作動→不快感・ブラックアウト→未来か過去に移動というパターンが多いと思います。

「タイムマシン」の場合は、同じ場所の時の移り変わりが認知できるのが面白かったです。

速度も徐々に加速していき、日の出・日の入りのスピード、丘から見えるビル街や地表の盛衰や変化を認識できていました。

 

 

未来世界の設定

人類が衰退して2つの種族に別れた未来は、異世界ファンタジーのような世界観。

火を起こす方法も失っているのに、落雷や自然発火のようなものは克服されている。

地下で機械が動いている。

変な世界観だけど、細かく作り上げているのが面白いです。

 

 

タイムマシン:タイムトラベルの種類

 

機械型タイムトラベルです。

タイムパラドックスはどうなんでしょうか。

80万年も未来に跳躍しているのでわからないですね。

 

 

タイムマシン:まとめ

  1. 機械的タイムトラベルの古典
  2. 未来世界の設定が意外と細かくファンタジー
  3. 地球は甲殻類に支配される

未来世界の話を読んでると、貴志祐介新世界より』とダブる部分があるように感じました。日本でもないし呪力もないですが。